日本経済新聞 2019/12/12
株式や投資信託の運用益を非課税にする少額投資非課税制度(NISA)を2024年に刷新することが盛り込まれた。低リスク商品への投資を促す仕組みに変え、安定的で中長期的な個人の資産形成を促す。低リスクの投資信託などに投資対象を限定している「つみたてNISA」は期限を延長して後押しする。
NISAは個人の資産を貯蓄から投資に振り向けるために14年に始まった。通常、株式や投資信託などの金融商品に投資すると売却して得た利益や受け取った配当などの運用益に約20%の税金がかかる。NISAは年120万円を投資限度額として5年間、運用益にかかる税金がかからない。
NISAの投資期限が23年末に近づいていたため、20年度税制改正大綱では投資期限を28年まで5年間延長。そのうえで、新たな制度に移行させることを盛り込んだ。
新NISAはリスクの低い投資信託などに対象を限定した積立枠(1階)と、従来通り上場株式などにも投資できる枠(2階)を設け2階建ての制度にする。安定資産への中長期的な投資・運用を重視し、原則としてリスクの低い商品に投資した人だけが2階部分にも投資できる。ただ投資経験者は1階で積み立て投資をしなくても2階で株式に投資できる例外も設ける。
年間の投資限度額は1階が20万円、2階が102万円で総額122万円。5年で最大610万円を非課税で運用できるようにする。1階部分は「つみたてNISA」と同じ商品を対象にして低リスク商品に絞り込み、2階部分はリスクが高すぎる商品を除外する方向だ。
つみたてNISAの制度も見直す。現行は年40万円を上限に運用益が20年間非課税で、投資期限は37年までとなっている。期限を42年まで5年延長し、23年までに投資を始めた人は20年間は積み立てられるようにする。2階建てになる新NISAとつみたてNISAは選択制になる。
現行のNISAは19年6月時点で1161万口座、つみたてNISAは147万口座がある。NISAは比較的リスクが高い株式などの短期売買にも使われているとの指摘も出ていた。
未成年を対象にしたジュニアNISAは23年までの投資期限を延長せずに終了する。口座数は32万ほどで、一般のNISAやつみたてNISAに比べると低水準にとどまっていた。
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