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NISAニュース
「投資への税制優遇、高齢者には未整備 夫婦でNISAを」

日本経済新聞 2019/03/15

投資に対する税制優遇制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)は非常に認知度が高まっています。しかし、一目瞭然なのが、退職者とその配偶者に意外にこうした制度が整っていないという点です。

DC(確定拠出年金)やiDeCoは、原則60歳を過ぎると拠出できません。つみたてNISAは年齢制限はありませんが、原則は毎月積み立てるという投資行動ですから、こちらも給料からの天引きか口座振替が前提です。現役世代向けの制度なのです。

こうして見ると一般NISAだけが高齢者が使える非課税制度なのです。意外に未整備のまま放置されていると思いませんか。

個人金融資産の6割を占めるのが60歳以上といわれていますから、1000兆円以上は退職世代が握っている計算です。いくら若年層の資産形成が大切だといっても、高齢者の非課税制度を未整備のままにしておいていいわけがありません。そこで、退職者のためのあるべき投資非課税制度を描きながら、現状でその対応にどんなことができるかを考えていきましょう。

退職者にとって退職金はその後の生活の支えとなる大切な資金です。2015年に実施した退職金を受け取った退職者8000人アンケートによると、退職金の平均額は約1700万円で、回答した8630人のうち31%が退職金で投資をしていました。また、退職金のうち投資に回した資金の比率を聞くと最も多かったのが「3割」でした。さらに退職金で投資をしている人の4人に1人は、これが初めての投資だったと回答しています。

一般NISAは、年間の非課税投資上限が120万円ですから、1700万円の退職金の3割を投資に回そうとしても、金額は510万円のため受け入れられません。少なくともこうした場合の投資に関して、NISAは対応できていません。しかし、もしNISAの非課税投資上限額を毎年の上限ではなく、英国の年金制度に導入されている「生涯拠出上限額」で規制すれば、こうした退職金への対応も可能になります。

現在のNISAでは、「5年間の非課税投資の総額は600万円となる」と決められています。もし投資上限を総額600万円と設定し、毎年の拠出額を自由にすれば、先ほどの510万円は受け入れられます。

もちろん、毎月2万円ずつ積み立て投資をするといった人には25年間続けられます。さらに途中でボーナスや何か臨時に収入が入った折には追加の投資もできるわけで、極めて柔軟性の高い制度になります。こうなれば、若年層のつみたてNISAをこの制度と一元化してもよくなるでしょう。

もちろん、退職金での一括投資を勧めるつもりはありません。退職金でも時間分散は大切なのです。ただ、退職直後はともかく、年齢を重ねていつまでも株式投資ばかりを続けるわけにもいきません。退職後に少しずつ資産を引き出して使っていく「使いながら運用する時代」を想定することは、この連載でも何度も指摘してきました。当然、資産が少し減ってきますし、徐々にリスクの高い運用から低い運用へと切り替えていくことも必要になります。

こうした「資産の保守化」の要請は、高齢者の持つ大きな特徴の一つです。NISAのもとになった英国のISA(個人貯蓄口座)では、14年の制度改正で株式型ISAから預金型ISAへの資金移動が初めて認められました。これは、1999年のISAの創設から20年近くたち、高齢になる投資家の資産の保守化要請に応えるものだといわれています。

日本でも、NISAはその口座保有者の過半数が60歳以上で、同様の資産の保守化が避けられません。現在認められていない資産の入れ替えを認める改革は必須です。それができない現状では、自動的に資産の保守化を進めてくれる「ターゲットデート型投資信託」を活用するのも一手でしょう。

NISAは、個人ごとの投資非課税制度であるため、家族の人数が多いほど総額の非課税投資額が多くなる特徴があります。しかし、家族の構成要員が減る方向に向かう退職後は、逆に非課税投資を縮小させる流れに変わります。

英国では、15年に「死亡した配偶者のISA資産を配偶者の翌年の拠出上限額に上乗せする相続ISA」が始まりました。配偶者が亡くなった際にそのISAの残高相当額を翌年の自身の非課税枠に上乗せできるという制度です。

日本で言えば夫がNISAに500万円を保有して亡くなった場合、妻の翌年の非課税枠は通常の120万円に500万円を加えた620万円に広がることになります。相続税には一切影響せず、単にNISAの枠だけを一時的に変えるということですが、平均余命が長い女性が配偶者死亡後の生活資産を確保するのに役立つ制度と言えるでしょう。

この制度は議論はされましたが、まだ導入に至っていません。ただ、導入された場合に備えて夫婦そろってNISAの口座開設を進めておくことが賢明でしょう。

最後に引き出しに関する制度設計です。この連載でも度々指摘してきたように、「資産活用」として非常に重要な制度の側面だと言えます。

ここに紹介した3つのアイデアは「運用面」に関するものでしたが、「使いながら運用する時代」には「引き出す」ことも重要です。どうやって安心して引き出すことができるかといった制度設計はこれから注目されることになるでしょう。18年9月から再開された金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループでは、「高齢者社会における金融サービス」として「取り崩し」が議論されており、何らかの方向性が示唆されるでしょう。

もちろん、既に退職して引き出し始めている対象者には、これまでの本コラムでの指摘通り「定率引き出し」といった新しい引き出しの施策を念頭に置いた対応が必要になってきます。



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