2018年1月に始まった積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」がじわり広がり始めている。購入層の主役は40歳代以下のミドル世代だ。所得が伸び悩むなか、こつこつ老後の生活に備えて蓄える。そんな投資を個人から職場単位に広げようと、金融庁も浸透に躍起になっている。
川崎市内に住む既婚女性(35)は2月、つみたてNISAを始めた。今まで株や投資信託を買ったことはない投資初心者だが「簡単に資産運用できそうなので、気軽な気持ちで始めてみた」。
金融庁によると、つみたてNISAの口座のうち、新規開設は62%を占める。一般NISAからの切り替えは30%にとどまり、新たな投資家の呼び込みに成功しているようだ。
世代別では20〜40歳代の割合が7割。一般NISAでは逆に50〜80歳代が7割を占める。つみたてNISAは投資上限を絞る一方、税の優遇期間を最長20年に伸ばした。「長期に簡単に」。そんな手軽さが働き世代の投資意欲を刺激しているようだ。
投資初心者を取り込むという所期の目的は一定果たした。金融庁が次に狙うのは、購入単位を個人から「職場まるごと」に広げることだ。
政府が2月に閣議決定した高齢社会対策大綱でも「資産形成を始めるきっかけを身近な場で得られるよう、職場環境の整備を促進する」と明記。3月から6月まで、全国11の財務局・支局で地方自治体や企業、金融機関を対象に職場つみたてNISAの説明会を開く。「個人ブロガーとも連携して制度の普及に力を入れたい」(金融庁幹部)と意欲的だ。
金融庁はつみたてNISAをアピールするキャラクターも募集するという。政策の普及を狙ったキャラといえば、マイナンバー制度の「マイナちゃん」、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の「イデコちゃん」などがあるが、知っている人はどれほどいるだろうか。
若い世代を取り込みたいのなら、「ニーサちゃん」のような安易なネーミングは避けたい。