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NISAニュース
「日本株にNISA大量失効の落とし穴」

日本経済新聞 2017/5/23

個人の株式投資を後押ししてきた少額投資非課税制度(NISA)が、大量失効のリスクに直面している。2018年1月以降のNISA口座継続には、17年9月末までにマイナンバー(社会保障と税の共通番号)の届け出が欠かせない。それなのに、個人にも金融機関にも不徹底。株式市場の落とし穴になりかねない。

14年1月に始まったNISAは、16年末の口座数が1069万を数える。株式や投資信託の配当金や運用益を、1人当たり毎年120万円まで非課税にする仕組みは、個人の株式投資の呼び水となってきた。

一方、16年1月に始まったマイナンバーの制度では、株式、債券、投信など有価証券の取引口座について、マイナンバーの届け出を求めている。この届け出の期限は18年末までとなっている。

18年末までならばNISA口座についても、マイナンバーの届け出は今から1年半あまり時間の余裕がある。そう思われがちだが、一部の関係者は意外な盲点に気付いた。

もともとNISAについては、非課税枠はすべて17年末でいったん切れる。18年以降については、NISA口座のある銀行や証券会社にマイナンバーを提示すれば、非課税枠が継続される。ただし、その手続きの期限は17年9月末までだ。

仮に17年9月末の期限に間に合わず、手続きを怠ると、NISAの非課税枠は17年末に失効してしまう。18年以降もNISAを利用するなら、継続ではなく改めて一から口座開設の手続きが必要となる。新規の口座開設となると、マイナンバーの提示ばかりでなく、非課税適用確認書の交付申請書の届け出などの手間がかかる。

NISA口座は、積極的に株式を売買する人ばかりでなく、投信の分配金の受け取りのためにも利用されている。非課税と思っていた口座で、18年以降は課税されるとなると、面食らう投資家が続出しかねない。 なぜこんなことになってしまうか。制度のつぎはぎに原因がある。その盲点に当局も民間も不注意だった、というほかない。経緯を整理すると、以下の4つのポイントになる。

(1)もともとNISAの仕組みができたときに、非課税枠は14年から17年の4年間だった。18年からの非課税枠は新規に設定することになっていた。

(2)これでは面倒。ということで、マイナンバーの制度ができた際に、NISA口座のある金融機関にマイナンバーを届け出れば、18年からも自動継続できるようにした。一種の便宜措置である。

(3)届け出期限は17年9月末に決まった。税務当局の事務手続きに必要な時間を確保するためである。

(4)それとは別に、課税対象となる一般の有価証券取引口座がある。この一般の取引口座については、マイナンバーの届け出義務は18年末までと期限が決められていた。

NISA口座についての便宜措置と、一般の口座についての取り扱い。ほとんどの当事者が両方をごっちゃにしていたわけだ。

金融関係者によると、17年5月時点でマイナンバーの届け出が済んだNISA口座は、全体の半分以下という。言い換えれば500万口座以上が未届け。このまま9月末を迎えれば、18年1月から大量のNISA口座が失効することになりかねない。

本来なら金融機関と当局が、投資家に注意を喚起すべきところだ。だが必ずしも足並みはそろっていない。日本証券業協会はこの問題の冊子を作成した。みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行はホームページのNISAコーナーに注意喚起を載せ始めた。

半面、全国銀行協会は特段の動きをみせていない。投資の後押しをしていたはずの金融庁も、これといった注意情報を出していない。地方銀行の動きも鈍い。


銀行と証券、金融当局と税務当局のはざまにあるような問題ではある。とはいえ関係者の感度の鈍さは、貯蓄から投資への流れに水を差しかねない。トランプ・リスクを語るのもよいが、金融関係者は足元の落とし穴を埋める努力が必要だろう。



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