公共事業と成長戦略を把握することが勝利への道

いよいよ、各論に踏み込んでいきます。最初に断っておきますが、あくまでも政策は現政権の方針に沿ったもの。当面の政治情勢で、分配を第一とする民主党などリベラルな政権が先行き誕生した場合、考え方が大きく変わるのは言うまでもありません。
これまでの経緯から、その方法論は要所で異なりながらも、分配より成長を一義的に経済政策の軸に置く、自民党など保守勢力の政権が当面続くことが前提となります。
各論では、第2の矢である公共事業、第3の矢である成長戦略、この二つを十分把握することが「政策買い」における勝利への道となります。
ただし、公共事業については、予算を使い切ってしまえばおしまい。それゆえに、アベノミクスも第2の矢で止まってしまっては、株価の上昇余地が限られるとみられてきました。
それでも、2013年に強烈な神風が吹いたことで、必ずしも一時的な効果でとどまる政策とは言えなくなっています。そう、2020年の東京オリンピック・パラリンピック招致決定で景色はぐっと変わりました。
オリンピックは国を挙げて取り組むイベントであるだけに、それ相応の予算が投じられるとみて問違いありません。
スタジアム建設という直接的な投資だけではなく、アクセスを良くするなどを目的としたインフラ整備なども活発化するでしょう。
1964年に行われた束京オリンピックの際には、開催までに束海道新幹線の開業を間に合わせる一方、首都高速道路も整備された経緯があります。
その点は、政策を点検するうえで見逃さないでください。
一方、日本の将来を考えるうえで、重要になるのは第3の矢の成長戦略です。
「株価が伸び悩んだのは、当初打ち出された成長戦略が期待はずれとなったことと無関係でない」と述べました。
代表的なのは規制緩和ですが、これが中途半端なものに終わると、各論で攻めるどころか、総論の部分で株価はつまずきかねません。
具体的に成長戦略に目を向けると、諸外国に比べて高く企業の成長を阻害するとされる法人税率の引き下げなど、すべての上場企業に当てはまるものがあるほか、新規参入を阻んできた岩盤規制の緩和などが注目点となるでしょう。
とりわけ後者に関しては、新規のビジネスをたくさん生むだけに、幅広い業種、企業に恩恵をもたらすことが期待されています。
アベノミクスにおいては、国家戦略特別区域の選定から始まり、当初、地域限定で規制緩和が実施される可能性が高いものの、やがては特区にとどまらず、全国で広がっていくことは想像に難くありません。
一方、法人税率の引き下げに関しては、とりわけ、世界各地において海外企業としのぎを削る輸出型企業にとって、国際競争力を高めるという意味で期待が大きくなっています。
これはむしろ総論で語るべきものかもしれず、銘柄を選定する際には、各企業が設備投資をどれくらい行うかといった動向や、進出している地域など詳細にチェックする必要がありますが、総じて自動車、電気機械といった日本を代表する輸出型企業にとって追い風となるのは確かなことでしょう。
<続く>

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